バートドリッパー開発の裏側

こんにちは。U+RooLee(ゆるり)運営スタッフの「ぎっさん」です。今回は、当社の商品「バートドリッパー」についてお話しようと思います。

この商品は、美味しいコーヒーを淹れられることはもちろん、コーヒーを淹れている時間も愉しんで欲しい、ゆっくりとしたひとときを過ごして欲しいという思いで開発されています。おかげさまで少しずつですがファンも増えてきており、今ではドリッパータイプとカラフェタイプの2タイプに、それぞれMサイズ(1~4杯用)とSサイズ(1~2杯用)があり、専用スタンドも加えて合計5種類の展開になっています。そんな「バートドリッパー」の開発について少しだけご紹介したいと思います。

開発したバートドリッパー

きっかけ

バートドリッパーの前に、「ワイヤードリッパー&スタンド」の開発でコーヒーツールに興味を抱き、もっと突き詰めてみたいと感じていました。

当時考えていたことは、ペーパーフィルターでネルドリップに近い淹れ方ができないだろうか?ということ。

ネルドリップは淹れ手の加減ひとつでコーヒーを愉しめます。きっと淹れている時間も愉しいはずですよね。でも、フィルターのメンテナンスが面倒で家庭向きではありません。

なので、後始末が簡単なペーパーフィルターを使って、ネルドリップと同じような淹れ方ができないだろうか?と考えていました。

違いは何?

ネルドリップとペーパードリップの違いは何だろうと考える日々でしたが、あるテレビ番組で、大坊珈琲店の大坊勝次氏が紹介されていて、氏がとてもシンプルな道具でネルドリップする姿を見てはっとしました。

左手で取っ手付きの茶漉しのような形状のネルフィルターを持ち、右手のドリップポットで丁寧にお湯を注ぐ。

ネルフィルターの外側から染み出るコーヒーを遮るものは何もなく、素直に片手鍋(ガラスサーバーなどではなく、何の変哲もない片手鍋でコーヒーを受けていました。)に落ちてゆく。

ペーパーフィルターはフィルターを保持する為に、陶器やガラス、樹脂などでできたカップ形状の器具(つまりドリッパー)が必要です。それが無い!きっとこれだ!と思った瞬間でした。

素直に落ちていくには

大坊氏のドリップで見た「フィルターから素直に落ちてゆく」をどうやってペーパーフィルターで再現するか?

同じように柄付きの茶漉し形状にしてしまえば良さそうですが、それでは家庭での使い勝手があまり良さそうではありません。やっぱりペーパーフィルターを器具で保持する方が安定しますしね。

そこで出した結論は、「ペーパーフィルターとドリッパーの接点を出来るだけ少なくして、接する部分は垂直方向だけの器具を考える。」というものでした。

方向性が決まれば、そこに向けて器具の形状を考え抜きます。簡易試作で実験もしながら、ひとつの案が形になりました。

近隣企業で参加した新宿駅の街頭イベントでは試作品の反応も上々でした。

大失敗!

試作品の反応が良かったこともあり、これから製品化を進めようと思っていた矢先の出来事です。

面識のあった地元のコーヒー問屋さんがある展示会に出展することとなり、そこでこの試作品を使ってコーヒーをふるまうデモンストレーションをするという話になりました。

そして当日、様子を見に行った担当営業と私は信じられない言葉を耳にします。

「コーヒーが溢れてしまいました!あのドリッパーは使えません!」

ドリップの際、ペーパーフィルターいっぱいにお湯を注ぐと、重みで紙が変形してコーヒーが溢れてしまうとのことでした。

もちろん実験はしていましたがペーパーフィルターのフチ近くまでいっぱいにお湯を注ぐことは想定していませんでした。

当然デモンストレーションは中止。発覚したのがオープン前の準備時間だったのが不幸中の幸いでした。

再出発

この出来事をきっかけに大幅な修正が始まります。

ペーパーフィルターが変形してコーヒーが溢れる危険性には、ペーパーフィルターを保持する支柱の形状変更と本数アップで改善を試みました。簡易試作を作って実験を何度も繰り返し、上リングまでの水位なら大丈夫と言えるものが出来上がりました。

そしてガラス製のカバーを加えることでフィルター外側を包み込むような二重構造となり、周囲の温度や湿度などの環境が安定してコーヒーの味の再現性が高まるという効果に気が付きます。このことはバートドリッパーの開発で急接近した星野バリスタの気づきだったのですが!・・・。

また、他社製を含めた実験の中で、ドリップすると湿ったペーパーフィルターは水平方向に伸びてフチにシワやたるみができることに気が付きました。

ドリップする時に意外と視覚的に気になり、シワ部分にお湯が留まるようにも見えます。もしシワやたるみが出来にくければ、もっと使いやすいはずです。

こんなふうにして現在のバートドリッパーへ繋がっていきました。

感謝と願い

修正を繰り返しながら、再度の製品化の取り組みの中で、星野バリスタ、ガラス工場や木工場との出会いのタイミングがうまく重なって現在のバートドリッパーが出来上がりました。

ちょうどその頃、「クラウドファンディングに挑戦してみませんか?」というお電話を突然いただき、我社にとって初めてのクラウドファンディングを進めることになるのですが、その担当の方の発案で、これまた初めての「(外部向け)新商品発表会」を行うことになり、初めてづくしの経験が続いたことを今でもよく覚えています。

ひとつの製品を作る上で、色々な方々との出会いがあり助けていただいたことにあらためて感謝いたします。

今度は、私たちの製品が、みなさんの「ゆっくりとリラックスしたひととき」にお手伝いできることを願っています。

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