コーヒーを自分で淹れる魅力(ドリップ編)
秋も深まり、涼しくなると夏のさっぱりした甘いものから、少し濃厚でこってりとした甘いものが人気になり始めます。
無論、温かいコーヒーと相性がいいことは言うまでもないでしょう。暑さを通り抜けたこの季節こそが最もコーヒー欲が沸き上がる季節と言えるのかもしれません。
そんな秋にこそおいしいコーヒーを飲みたい。そして、コーヒーを自分で淹れてみたい。
コーヒー好きな人なら誰しも一度は思うはず…。自分が淹れたコーヒーは格別な味に違いない。なぜなら、そこには他の誰でもない「自分の熱」がゆっくりと注ぎ込まれているのだから…。
今回はそんな一人の普通のコーヒー好きが、バリスタからコーヒーの淹れ方を教えてもらいながら初めてハンドドリップを体験してきたので、コーヒーを自分で淹れる魅力を紹介していきます。
コーヒーの正体を知って変わる味わい方
インスタントコーヒーもおいしいですが、コーヒー豆から淹れたコーヒーはもはや別物です。深み、コク、香り。どれをとっても感動を覚えるほどの衝撃です。
そして、もうひとつ衝撃だったのがコーヒー豆の正体は実は「豆」ではなかったということ。
実はコーヒー豆の正体は「フルーツの種」なんです。
コーヒーの味の指標には「苦味」と「酸味」がありますが、この酸味がどこから来ているのかといえば、それはフルーツの種から来ている酸味なんだそうです。
これを知っておくだけでもコーヒーの酸味への注目の仕方が変わるので、味わい方もコーヒー通へ一歩近づけたような気分になります。
コーヒー豆を挽く愉しさ
ここからは実際にコーヒーを淹れていきます。
おいしいコーヒーを抽出するためには、まずコーヒー豆を粉末状に砕く必要があります。
コーヒー豆を砕く器具はコーヒーミルと呼ばれたり、グラインダーと呼ばれたりしていますが、電動式のものもあれば手回しのものもあります。手回しは電動式に比べて時間と手間はかかりますが、手回しでしか体験できない良さがあります。
豆が砕ける小気味いい音、手に伝わる細やかな振動、ふわっと広がってくるコーヒーのふくよかな香り。自分でやるからというのもありますが、これがまた堪らなくこれから出来上がるコーヒーの美味しさを予感させてくれます。
ドリッパーにフィルターをセットすれば優しい気持ちが蘇る
豆を挽き終わったあと、今度は粉末状にしたコーヒー豆をフィルターに投入し、そのフィルターをドリッパーにそっとセットしていきます。
今回は紙のフィルターを使っていますが、紙フィルターは雑に扱ってしまうと紙にシワや折目ができてしまい、そのせいで抽出時に偏りが出てコーヒーが素直に落ちてこなくなってしまうことがあります。
そのため、ドリッパーにフィルターをセットするときは、まるで初デートで女性をエスコートするかの如く、やさしく、そっとドリッパーへと導いてあげます。
フィルターをドリッパーにセットする瞬間は、そんな優しい気持ちを蘇らせてくれる瞬間でもあります。
お湯を注いでドリップはまるで禅体験
いよいよドリップの時間です。
沸騰したお湯を予めコーヒーポットへ移しておき、80~90℃に少し冷ましたお湯を使ってドリップしていきます。
「上手にドリップするコツは、500円玉を描くように。そして、できるだけ低い位置から静かにゆっくり注いでいくようにします。」
アドバイスを受けながらいざ実践してみると、これがなかなかに難しいものです。
つい腕が上がってしまって高い位置から注いでしまったり、描く500円玉が大きすぎたり小さすぎたりしながら円を描いていましたが、だんだんコツがわかってくると注いだお湯に反応してくれるコーヒーが面白くなってきます。
お湯を注げばモコモコとコーヒーが膨らみ、それを見ているだけでも柔らかな気持ちになってきます。また、蒸気したコーヒーのしっとりとした香りが心地よい癒やしをもたらしてくれます。
そんな中でクルクル円を描きながらコーヒーを抽出していけば、まるで禅を体験しているかのよう。今ここにあることに集中して、ゆっくりとしたひとときを過ごすことができます。
お店では味わえない自分だけのコーヒーを味わう
ハンドドリップの締めはやはりコーヒーを味わうこと。
自分で淹れたコーヒーは格別の味です。自分で料理したご飯が美味しく感じられるのと同じように、なんといっても満足感が違います。こればかりはお店で出てくるコーヒーでは絶対に味わえない感覚です。
自分で淹れるのはたしかに手間がかかります。でも、その手間こそが違いをもたらし、違いを感じさせてくれます。
自分の腕でふるったおいしいコーヒーは自分だけでなく、きっと大切な人にもシェアしたくなるでしょう。
ひとりで味わうよりも、誰か大切な人と一緒に味わう。それが話のきっかけになったり、ホッとする時間に変わります。
コーヒーがあなたの生活をもっと豊かにしてくれるかもしれません。
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