熱伝導のアイスクリームスプーンで食べるアイスはなぜ美味しくなるのか?

カチカチに固まっているアイスクリームを食べるとき、スプーンがアイスに刺さらず、溶けるまで待たされた経験はないでしょうか?

そんなときに役に立つのが熱伝導のアイクリームスプーン。固いアイスクリームでもスプーンが入りやすく、溶けるのを待つことなくアイスクリームを愉しむことができます。

この熱伝導のアイスクリームスプーンですが、これを使うとなぜかいつもよりアイスクリームを美味しく感じるといった話を聞きます。

一体なぜなのでしょうか?

熱伝導のアイスクリームスプーンを使うと冷たい食べごろでアイスを食べられる

熱伝導アイスクリームスプーン

なぜ熱伝導のアイスクリームスプーンでアイスクリームを食べると美味しくなるのか?それは、アイスクリームの食べごろ温度が関係しています。

日本アイスクリーム協会によれば、アイスクリームの食べごろ温度は-8℃~-14℃になります。この温度が一体どのくらいなのかというと、アイスクリームが固くなる温度は-15℃、商業施設や飲食店などで提供されているソフトクリームは-5℃~-7℃。つまり、ちょうどこの間がアイスクリームの食べごろ温度になります。

そして、-14℃といった冷たい食べごろは、アイスクリームによってはまだカチカチでスプーンですくえないことがあります。

アイスクリームの固さはアイスクリームに含まれる空気の量で決まるのですが、空気の量が多ければフワッと軽い味わいに、空気の量が少なければずっしりと重みのある味わいに変わります。

高級アイスクリームの場合、重厚感ある味わいのものが多く、高級アイスクリームの代表格であるハーゲンダッツは空気の量が低く抑えられています。そのために冷たい食べごろであっても、固くてスプーンが刺さらないといったことがあります。

しかし、アイスカップを手に持つなどして溶かしてから食べようとすれば、今度はアイスクリーム全体が温まってしまい、冷たい食べごろがすぐに過ぎてしまいます。

そこで活躍するのが熱伝導のアイスクリームスプーンです。熱伝導のアイスクリームスプーンは、スプーンで触れた部分を溶かしてすくいやすくするため、アイスクリーム全体を温めてしまうロスを抑えることができます。これによって、冷たい食べごろのアイスクリームを長く愉しむことができます。

熱伝導のアイスクリームスプーンの仕組み

熱伝導アイスクリームスプーンのイメージ

熱伝導のアイスクリームスプーンの仕組みは、手の熱をアイスクリームに伝えて溶かすといったものです。

熱には、「熱い方から冷たい方へと移動する」といった性質があります。たとえば冷たい金属の板に手を乗せると、手は冷たく、金属は温かくなります。これは手の熱が金属に移動したことで起こる現象です。

また、このとき金属でなくて木材だとどうなるかというと、金属のときほど手は冷たくなりません。これは熱伝導率が関係していて、熱が移動するのにも「熱の移動のしやすさ」があるためです。

一般的に金属は木材よりも熱伝導率が高く、手の熱がすぐに奪われるため冷たく感じます。一方、木材は熱伝導率が低く、ゆっくり熱が移っていくので冷たさをあまり感じません。

そして、この仕組みを利用したのが熱伝導のアイスクリームスプーンです。

アイスクリームスプーンを持つと手の熱がスプーンに伝わりますが、そのスプーンで今度は冷たいアイスクリームに触れると手の熱がアイスクリームに届き、その部分が溶けてすくいやすくなります。熱伝導のアイスクリームスプーンは、このような仕組みで固いアイスクリームを食べやすくしています。

熱伝導のアイスクリームスプーンに使われる素材

銅製アイスクリームスプーン

アイスクリームスプーンは「ステンレス、木材、プラスチック、アルミニウム、銅」など様々な素材で作られますが、熱伝導のアイスクリームスプーンは、「アルミニウム、銅」で作られたものが主流です。

ステンレスの特徴

ステンレスは熱伝導率が低く、アイスクリームを溶かすスプーンには適していません。逆に言えば、かき氷などのアイスや、熱いお湯に入れるティースプーンなどに適しています。

ステンレスは耐久性があり、非常に錆びにくい金属です。ステンレスはクロムやニッケルを混ぜた合金であり、クロムは酸素と結合することで酸化皮膜を作り出し、この膜が金属の表面を覆うため、非常に錆びにくいといった特徴を持っています。

木材の特徴

木材はステンレス以上に熱伝導率が低く、アイスクリームを溶かすスプーンには不向きです。しかし、その逆の熱を伝えない用途には適しています。

木材は金属に比べると柔らかくて熱伝導率も低いため、手に持ったときには温もりを感じ、スプーンが口に触れたときの口当たりもよいといった特徴があります。

プラスチックの特徴

プラスチックといっても使われる材料には様々な種類があります。高い熱伝導率を持つ材料もあれば、使い捨てスプーンなどでよく使われる材料のポリスチレンは熱伝導率が低く、アイスクリームを溶かすスプーンには適していません。

しかし、プラスチックは金属アレルギーの心配がなく木材よりも乾きやすいため、使いやすいといった特徴があります。

アルミニウムの特徴

アルミニウムは熱伝導率が高く、アイスクリームを溶かすスプーンに適しています。一方で、冷たさも手に伝わりやすいので長時間使うと手が冷たくなります。

アルミニウムは柔らかいため、落としたりぶつけるなどすると傷がつきやすいという欠点がありますが、軽くて錆びにくく加工性が高いといった特徴があります。

銅の特徴

銅はアルミニウム以上に熱伝導率が高く、アイスクリームを溶かすスプーンに適しています。ただし、熱が伝わりやすい反面、アイスクリームの冷たさも感じやすくなります。

銅の欠点はすぐ黒く変色してしまう点です。そのため、食品衛生法で銅が食品に接触する部分は全面スズメッキ又は銀メッキをしなければならないと定められています。

しかし、銅は錆びにくく殺菌作用も持っていて、アルミニウム同様に加工しやすいといった特徴があります。

こだわりアイスには熱伝導のアイスクリームスプーンを

せっかくいいアイスクリームを食べるなら、優雅にゆったり時間をかけて食べたいものですが、高級アイスクリームは空気の含有量が少ないために固いものが多いです。かといって、溶けるのを待ってから食べたのではアイスクリームの冷たい食べごろをゆっくり愉しむことはできません。

冷たい食べごろアイスに舌鼓を打ち、優雅なひと時を過ごすのに熱伝導のアイスクリームスプーンは役立ってくれます。こだわりのアイスには、ぜひこだわりのアイスクリームスプーンを。

▼燕三条で製造。ギフトにもおすすめなアイスクリームスプーンを開発しました。
銅製アイスクリームスプーン