自分でコーヒーを淹れてみたいけれどやり方がわからず、もやもやしたことはありませんか?

どうせ淹れるならおいしいコーヒーを淹れたいものですよね。

そこで、まさに同じことを思っているコーヒー初心者の当サイトスタッフが、自分でコーヒーを淹れられることを目指し、バリスタの星野元樹氏にコーヒーのあれこれを聞いてきました。

今回は第4回目『コーヒーの淹れ方』についてをお届けします。

本連載のまとめ

星野元樹(ほしの げんき)氏<左>

2005年にコーヒーの世界へ。タリーズコーヒーにて店舗マネージャー、コーヒースクール講師を務めた後、新潟伊勢丹『ショコラモード』でバリスタとして店舗を運営。その後、鈴木コーヒーに入社して直営店事業統括マネージャーとなり、ぴあ万代、伊勢丹に直営店をオープンさせる。2018年に独立し、家業の稲作農業とコーヒー業の二刀流『ホシノテラス』をスタート。(もっと詳しく

皆川(みながわ)<右>

当サイト『U+RooLee(ゆるり)』のスタッフ。趣味はお酒と映画鑑賞のインドア派。これまでのコーヒー歴はインスタントのみ。結婚を機に家で過ごす時間が増えたこともあり、ちょっと本格的なコーヒーを始めてみたい今日この頃。毎朝、食後に一杯のコーヒーを飲むのが日課。(前回、コーヒーの豆選びについて学んだ。)

皆川 さっそくですが、コーヒーの淹れ方を教えてください! やり方やおいしく淹れるコツがあれば知りたいです。よろしくお願いします!

星野元樹氏(以下、星野) よろしくお願いします。それでは、実際にペーパードリップでコーヒーを淹れてみましょう。

ペーパードリップでのコーヒーの淹れ方

今回使う器具は、ドリッパー(バートドリッパー)、ペーパーフィルター、サーバー、スケール。画像にはありませんが、お気に入りのカップもご用意ください。

※使う器具について詳しくは『コーヒーの器具』を参考ください。

コーヒーの淹れ方レシピ①

  • コーヒー豆 10g(中挽き)
  • 注湯量 150cc(豆1:お湯15)
  • 湯温 93℃
  • 抽出時間目安 3分以内
  • 蒸らし時間 30秒

手順

①器具にお湯を注ぎ、ドリッパー、サーバー、カップを温めます。

②ペーパーフィルターの接着部を折り、ドリッパーにセットします。

③一杯分10gを目安にコーヒーの粉を投入します。

④ドリッパーを揺すって粉を平らにならします。

⑤お湯150ccを2回に分けて注ぎます。1回目は20ccを注ぎ、30秒待って粉を蒸らします。2回目は残りの130ccを一度で注ぎ切ります。あとはコーヒーが落ち切るまで待ちます。これを3分以内を目安に行います。

⑥ドリッパーを外し、お気に入りのカップにコーヒーを移して完成です。ゆっくりと素敵なコーヒータイムをどうぞ。

いざペーパードリップに挑戦!

皆川 それでは、私も挑戦してみたいと思います!

皆川 初めてのドリップ、かなり緊張しましたがとても面白かったです! ただ、どこか味が微妙でおいしく淹れるのは難しいなぁというのが率直な感想です……。

おいしいコーヒーを淹れる秘訣は「量る」こと

皆川 もっとおいしく淹れるにはどうしたらいいんでしょうか?

星野 僕がすごい大事にしていることがあるんですけど、「量りませんか?」という提案をします。

皆川 量る?

星野 コーヒーの量だったり、お湯の量ですね。このバランスによって味が濃くなったり、薄くなったりするんですけど、感覚でやるよりも量ってやったほうが味を安定させやすくなります。

皆川 そういえば今回、スケールがありましたけど使っていませんでした……。

星野 量ると聞くと「面倒だからやだ」って人も多いですけど、量るといってもいろんな量り方があるんですよね。

たとえば、コーヒー用のスプーンですり切り一杯10gのものもあるので、それを使うとか。別に普通のカレースプーンとかでもいいんですよ。ご自宅にある自分のスプーンが一杯5gなのか7gなのか、最初の一度だけ量ってどのくらいなのか知っておけば、ある程度のモノサシができるので。

要は、自分の中でモノサシを持ってほしいという話で。そうすれば、「今回は薄かったから次は粉を多くしよう」と改善できる。「この割合はおいしいな、覚えておこう」といって味の再現ができる。これを繰り返していけば、おいしいコーヒーが淹れられるようになっていきますよね。

皆川 ……なるほど、おいしく淹れるには量ることが大事。覚えておきます!

なぜ抽出時にお湯を分けて注ぐのか?

皆川 実際にやってみてちょっと疑問に思ったことがあるんですが、お湯はなんで分けて注ぐんでしょうか?

星野 基本的には分けて淹れるほど、抽出の時間をゆっくりにするわけですからね。ということは、味としてはより密度が出るんですよ。

皆川 密度?

星野 ボディ感っていったりとか、コーヒーの苦味だったり酸味だったり、そういったコーヒーらしい味わいが、時間をかけた分だけ出てくるんです。ただ、これには出て欲しいものと出て欲しくないものがあるわけですよ、えぐみだったりとかね。

なので、僕がおすすめしている淹れ方としては、蒸らしはしっかりかけてもらった後に、1回で注ぎ切ったほうが味が安定しやすいんですよ。何回も分ければ分けるほど、味が今日おいしい、明日はおいしくないってなりやすいので。

それと、とにかくハードルを下げたいんですよ。「難しいね、面倒だね」ってことを減らしたいんですよ。みなさんに味を安定させてもらうために、蒸らしをかけて30秒待ったら、あとはゆっくり1回で注ぎ切って落ちたら出来上がり。簡単ですよね。

皆川 なるほど。たしかに簡単でやりやすかったです。

ペーパーフィルターを折ってセットする理由

皆川 もうひとつ質問なのですが、ペーパーフィルターを折ったり、ドリッパーを揺すって粉をならしたりするのはなぜですか?

星野 折らないでセットするとドリッパーに密接にはまらないんですよね。コーヒーの粉をいれたときに斜めになっているとかだと、未抽出になりやすい部分が生まれちゃうと。だから、紙を折ってドリッパーにはまるようにしてあげる、粉をいれて平らにならしてあげる、というわけです。

まぁでも、折ったやつと折ってないやつを飲み比べてみて判断できれば一番よくて。なんか気づいたら折ってなくて淹れてて、でも、その人がおいしいと思っているんだったら、それはそれでいいというか。いろいろやっている中で発見や気付きが生まれたりするので。

飲み比べてみて欲しいバリスタ直伝レシピ

皆川 今回、教えてもらったレシピをやってみて、もし淹れ方が違うとどんなふうに味が変わるんだろう? とちょっと気になりました。

星野 コーヒーの味を大きく決めるのは産地と焙煎ですが、コーヒー豆と湯量のバランス、抽出時間とか。他にもお湯の温度、豆の挽き具合。そうした諸々の要素で変わってきますね。

おすすめのレシピがもうひとつあるので、ぜひ飲み比べてみてください。豆は最初と同じ産地・焙煎度のものですが、細挽きのものを使います。飲み口はすっきりとしつつ、コーヒー豆が持つ特徴をしっかり味わえるレシピです。

コーヒーの淹れ方レシピ②

  • コーヒー豆 :10g(細挽き)
  • 注湯量   :200cc(豆1:お湯20)
  • 湯温    :95℃以上
  • 抽出時間目安:3分以内
  • 蒸らし時間 :なし

手順

※動画で詳しい淹れ方をご確認いただけます。

皆川 最初のレシピと比べるとお湯の割合が多いので、コーヒーが薄くなるのかなと思ったんですが、しっかり味が感じられます。少ない豆でいっぱい飲めていいですね! なぜこんなに変わるんでしょうか?

星野 このレシピに関しては、大前提でいい豆を使い、細かく挽くんですよ。なるべく細かくして味が出やすくします。

細挽きだと粒が細かくなるので豆にお湯が触れやすく、湯通りも遅くなるので味が出やすくなります。なので、苦味も強く出ますね。粗挽きの場合はこの逆で、クリアな味わいで酸味を感じやすくなります。

皆川 なるほど。あと、最初のレシピでは蒸らしをかけましたが、今回蒸らしをかけないのはなぜですか?

星野 細挽きの豆は蒸らしをかけると目詰まりしてコーヒーが落ち切らなくなることがあるので、蒸らしをかけずに1回で注ぎ切ります。

皆川 そういうことなんですね。とても勉強になります。

星野 大事なこととして、大前提として「いい豆」を使ってください。スーパーで買った豆だったらこの淹れ方は推奨しません。きちんとクオリティを担保されたいい豆だから成り立つレシピです。おいしいスペシャルティコーヒーを使ってあげてください。

皆川 スペシャルティコーヒーとはなんでしょうか*

星野 簡単にいえば、高品質でクオリティが担保された豆だと思ってください。ただ、全員が全員、この淹れ方がおいしいと感じるかというと、もちろん人によって好みがあるわけで。それは今回紹介したレシピの両方をやって違いを感じてみて欲しいですかね。

せっかく、今回使ったバートドリッパーは淹れ手の淹れ方にちゃんと寄り添ってくれるドリッパーなので。コーヒーの味わいだけじゃなく、淹れる愉しみも味わってみて欲しいですね。

コーヒーの醍醐味は探求でもある

皆川 最後に、今回教えてもらったレシピが「おいしいレシピ」ということでいいんでしょうか?

星野 それがですね、実は違うんですよ。何をおいしいって感じるかは人それぞれ、本当に十人十色で。だから、おいしいコーヒーが飲みたかったら、これは本当に本質をつく話なんですけど、「あなたは何がおいしいですか?」という質問になるんですよ。

皆川 改めて考えてみると、自分でもよくわかっていない気がします……。

星野 だから、一概においしいってのはないんです。ただ、豆1gに対して15倍のお湯が入り口としては一番いいかなと思っていて。キリがいいので覚えやすくもありますよね。それをね、ひとつのモノサシとして持ってもらえればいかなと。

皆川 そこから始めて自分の好みを探していく、という感じでしょうか?

星野 そうです。仮に10gで150ccが薄いと思ったら、豆をちょっと増やすか、お湯をちょっと減らすかしたらいいわけですよ。逆に濃いなと思ったら、ちょっとお湯で割ってあげればいい。それはその人の好みによっても違ってきますし、その日の体調によっても変わってくるので。

コーヒーってそんなに形を考えずに、自分の好きな抽出をすればいい。好みは誰かに決めてもらうものじゃなく、自分で決めるものですから。自分の好きな抽出を試して、自分の好きな味を探求する。コーヒーの愉しみですよね。

コーヒーの淹れ方のまとめ

コーヒーの淹れ方について、バリスタ直伝のレシピをはじめ、おいしく淹れる秘訣などを教えていただきました。

  • おいしいコーヒーを淹れる秘訣は「量る」こと
  • レシピ① 中挽き 豆1:お湯15 蒸らし30秒
  • レシピ② 細挽き 豆1:お湯20 蒸らしなし
  • 「おいしい」の感じ方は人それぞれ。自分の好きな味を探求しよう

本来、今回の連載企画は第4回で完結となる予定でした。しかし、実はここには載せきれなかった話があります。そこで、次回は番外編として、プロならではの視点から語っていただく『プロのコーヒーの淹れ方』をお届けします。

本連載のまとめ

記事中に登場したアイテム